既成のシャツは野暮ったい?
ジャケットを脱いだときに、どことなく自分の体型が野暮ったく見える気がする。こんな気持ちになったことのある方は少なくないのではなかろうか。既製のシャツは、首周りと袖丈を基本に選ぶため、どうしても身頃は万人に合わせ、ゆとりをもって作られている。そのため、首と袖丈はジャストサイズでも、胸周りやウエストがオーバーサイズになってしまい、特に痩せ型や肩幅の広い人などはどこか野暮な雰囲気を醸し出してしまうのだ。
オーダーシャツにも劣らない救世主
ところが、オーダーメイド以外でこれを解消するようなシャツがこの数年台頭している。それが、背中部分の余分な生地をつまみ、より自然な体型にみせてくれるというダーツ入りのシャツである。これは、もともとイタリアのシャツなどに見られたディテールだが、この4〜5年、国内のアパレルメーカーなども取り入れるようになり露出が増えてきた。このシャツであれば、胸の厚みとウエストの差が美しいラインで表現されるために、通常の体型であっても男性的な凛々しいシルエットが強調されるというわけだ。これだと、正面から見たときに体型に合っているだけでなく、真横から見たときにも背中の立体感などより美しいシルエットを手に入れることができる。
背中にダーツをいれたシャツ。肩甲骨あたりからウエスト辺りにかけて縦に2本つまみがあるのがおわかりいただけるだろう。このつまみの効果で、肩甲骨から下の背中のカーブにもキレイにフィットする
見栄えだけでなく、着心地まで向上!
このシャツは、スッキリとした見栄え以外に、着心地面においても快適さをもたらす。まず、フィット感が高いためにウエストからシャツの裾が出てきにくくなる。次にジャケットの下で生地がもたつくこともなくなり、スーツ着用時の着心地も向上するのだ。ミドルエイジに人気の高いセレクトショップ、ストラスブルゴでは、早くからダーツ入りのイタリア製シャツを提案していたが、こうした仕様のバルバ、フライといったブランドはダントツに人気が高いという。さらに背中のダーツの入ったもので満足できない場合、オーダーメイドで前にも2本のダーツ(つまみ)を入れて、背中2本を加えると計4本のダーツによる、完璧に立体的な見栄えを実現することも可能。また、バルバでは今シーズンからよりタイトなスリムフィットの展開をはじめ、リピーターも出るなど好評だ。
いまだ、ゆったりしたシャツは楽な着心地だと思っている方は、その楽チンさに甘えている分、だらしなく見える危険をはらんでいることも知っておくべき。ビジネスシーンで、ここ一番のときには、やはりスッキリとした見栄えで仕事のデキる男を演じてみるのが得策では?
特に人気の高いイタリア製のダーツ入りシャツ。左から/フライのシャツ5万9850円、ボナマッサのシャツ3万6750円、バルバのシャツ2万9400円(問い合わせ先:ストラスブルゴ 表参道店)
見栄えのよいシャツ選びの三つのポイント
肩先に要注意
肩先が実際の肩よりも5ミリ程度内側に入っているものを選ぶこと。シャツの肩幅が実際の肩よりも大きく、下がってしまうとスタイルよく見せることができない。
首周りの目安
首周りが大きすぎては見栄えが悪く、小さすぎては窮屈。ネクタイをする場合、首周りは指一本のゆとりを目安に選ぶのがコツ。
シャツ単品で判断しない
高価なシャツであればあるほど、実際に着用するスーツを持参してシャツを選ぶことが大事。これなら、より着用時の雰囲気がわかるので失敗も少なくなる。
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